火曜日, 3月 27

2012冬クールアニメ総括

ちょうどいい時期なので、冬クールのアニメを総括してみよう…というわけで、まずは今期やたら多く目についた続編モノについて。

とりわけ今期は長寿作品と言えるようなシリーズも多かったが、いずれの作品も(かつて人気がピークだった頃に較べると)評価が下がってしまったように思える。
まぁシリーズを重ねるごとに、勢いが徐々に衰えていくのは致し方ないとしても、前シリーズの内容でファンの不興を買い、続編を作る機会を自ら手放してしまったシャナFinalゼロの使い魔Fについては、今になって完結編を作ったところで、すでに離れてしまったファンの心を取り戻すのは、難しくて当然だろう。
もちろん制作側にも色々と事情や言い分はあるのだろうけど、作品の寿命や制作のタイミングというものについて、考えさせられるケースではあった。

もちろん、同じく長寿作品となった夏目友人帳のように、かなり原作を尊重した作りに努めたにも拘わらず評価できない場合もあるけど…この場合は原作に原因があるのだから、少なくともアニメ版のスタッフを責めるのは筋違いだろう。
その問題点とは、彼自身と周囲の人間&妖との交流関係(←的場のように、マイナス方向の影響を及ぼすものも含む)を描いたエピソードの割合が増す一方で、連載初期に比較的多く見られたような、夏目がホスト役に回り、ゲスト役の妖が実質的な主役を務めるエピソードが減少しつつある事である。言うまでもなく作品の主役は夏目であるし、彼が成長を遂げるに従って前者のエピソードが増えるというのは、方向性としては間違ってないのだが…。
夏目メインのエピソードが、彼の“未来”の可能性に言及し、ポジティブな色合いを帯びる傾向があるのに対し、妖メインのエピソードは、すでに“過去”のものとなってしまった関係(←おもに人間との)の修復や清算を求めるパターンが多く、大抵の場合、その結末は物悲しいものとなる…メインストーリーに関してはハッピーエンド至上主義の俺だけど、個別のエピソードについては、むしろハッピーエンドより“泣かせる”終わり方のほうが好みなんだよねー(笑)。
また、始まってすぐに露神という珠玉のエピソードと出会ったことで、“夏目=妖メインの、泣ける話”という図式が脳内に刷り込まれてしまった面も大きい…どうしても、あの話が基準となってしまうのだ。

4期では数少ない(そしてベストの)エピソードである、第4話が収録されたBD第2巻


次に、長寿ではない続編モノとして、真っ先に挙げておきたい(←悪い意味で)のは、やはり銀翼のファムだろう。「いつものGONZOじゃん」と言ってしまえばそれまでだし、実際そのつもりで事前にハードルは下げておいたから、それほど意外だったわけでも無いのだが、やはりねぇ…。
ディーオやタチアナといった懐かしい顔ぶれが登場すると、どうしてもボルテージが上がるのを抑え切れないわけで、その点では続編モノゆえのマイナス要素と言えなくもないな(←いや…本来ならプラスとして働くはずの要素だからこそ、期待を裏切られた際の失望も、より激しいものとなる)。オリジナル作品なら、こういう落胆とは無縁なんだろうけど。

とりあえず最大の不満点は、話の中心となるべきルスキニアの動機について、完全に投げっ放しで終わってしまったこと。とにかく説明不足で、最期まで本心らしきものが語られなかった──ひょっとしてスタッフ自身、なにも考えてなかったとか?(苦笑)──せいで、“思うところあっての所業であり、ほんとは悪い奴じゃない”というベタな真相だったのかどうかさえ分からないという…。こんな事なら、前シリーズのデルフィーネのように、シンプルな悪人という設定にしておいた方が、よっぽどマシだったぞ。
また、主役(←と言えるのかどうかさえ疑問だが)であるファムとの接点が少なすぎて、何をメインに描きたいのかという軸が定まらないまま、迷走してしまった点も問題。主役と敵役、どちらにも感情移入できないような話を面白く作るのは、そりゃ難しいわな。
さらに戦闘に関しても、なんとか銀英伝をリスぺクトしようと頑張ってみたけど、まったく中身が追いついてない有り様だったし(←評価できたのは、連合に同士討ちを引き起こさせたサドリの策略ぐらいか)。

ただしタチアナが登場する第4話や、トゥラン亡命政権樹立が描かれた第5話の辺りまでは、間違いなく面白かった。
実際、それらの回が収録されたBD第2巻は、楽天ブックスでも初回版が品切れ状態となっており、↓のリンクは通常版だし。

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