水曜日, 9月 19

ドラゴンスレイヤー 英雄伝説

けっきょく、ロードモナークは2日ほどで嫌になった…って、早っ!(苦笑) 考えてみれば、これまでSLGをプレイした経験そのものが皆無に等しいわけで、その面白さというか醍醐味が今ひとつ理解できていないのかも…この手のジャンルに対する素養自体が無いのか確かめるために、いずれ──他のゲームが片付いた後にでも──蘇るPC88伝説に収録されているHARAKIRI~ハラキリ~あたりをプレイしてみるか。
敢えて良かったところを挙げるなら、フーズパニック編のBGMぐらいだな。イメージ的に、もっとポップな感じの曲のほうが合いそうなのに、なぜか俺好みのマイナーで暗めの曲だったという…プレイをやめた後も、しばらく脳内でヘビーローテーション状態が続いたので困った(笑)。

そして次に手を付けたのが、風の伝説ザナドゥ。とくに深い理由があるわけでは無く、 ただ単に本スレで不具合の報告が上がっていたから、ついでに確かめてみようと思いついただけの事である。
結論としては、不具合の再現は確認できなかった…というか(その不具合とやらが偶発的なものでは無く、特定のイベント内において発生するのだと仮定すると)そこまで辿り着けなかった。なにしろ、最初のイベントで早々と手詰まりになっちゃったんだよねー(爆)。
うーむ、見た目がイースっぽい(←SEとか、そのまんま)から、同じく難易度についてもヌルゲーだと思い込んでいたのだけれど、意外に歯ごたえのある作品なんだろうか? まさかフラグ処理の面でも不具合があるとは思えんし(←もしそうなら、もっと騒ぎになっているだろう)。

そんなわけで、(ロマンシアを除いて)最後に残った英雄伝説をプレイすることになったワケだが、これがまた何とも微妙な作品だったので、扱いに困る…ひとことで言えば、ドラクエの丸写しにしか見えないんだよね(うわぁ…)。まぁ発祥元である海外RPGを奉って、「中世ヨーロッパ風ファンタジーこそがRPGの正統!」なんて原理主義的なことを言うつもりは無いけど、中途半端に西洋ファンタジーの雰囲気を残した世界観が、いかにもドラクエっぽいわけで。
仮に、初代ドラスレのように“なんちゃってRPG”みたいな世界観とシステムを備えた作品を作り続けた末に、たどり着いたのがドラクエもどきだったとしたら、これほどの落胆を味わうことは無かっただろう。しかし、ザナドゥのように独創的なシステムの作品を作り上げ、しかもそれが大ヒットを飛ばしたことによって頂点を極めたドラスレ(ファルコム)というブランドが、なんで今さらドラクエの風下に立つような真似を…と思わざるを得ない。
もちろん──他ならぬファルコム自身によって──“RPGの低難易度化”をコンセプトに作られたイースという先例があったにせよ、あちらは「コンセプトに沿ってゲームシステムを作り上げた結果、ああいう形に収まった」というだけで、特定の作品から影響を受けたようには見えないのに対し、こちらは──目指すところは“ユーザーに優しく”という点で同じだとしても──「結局いちばん取っつきやすいのはドラクエだろ」みたいな、安易な姿勢に基づいて作られたのではないか…と思えてしまうんだよね。とくに、システムだけでなく世界観まで含めた全体的なイメージが、ドラクエを想起させるものになってしまっているのは苦しい。
例えるなら、かつては「遊びをクリエイトする」を標榜して多様な作品を(←もちろん、当りハズレは激しかったけれど)供給してきたナムコが、クエスターを出したときに感じたような失望感とでも言うか…。まぁ対戦格闘ブームの際にも、多くのメーカーが後追いで安易な類似作を濫造したりと、この業界もキレイゴトだけでは食って行けない事情があるんだろうし、ほとんどが無残な屍を晒す結末となったブロックくずしストIIのケースとは異なり、本作はけっこう売れたようだけど(←88伝説によると、90年度のベストヒットソフト第2位だそうな)。
まぁ売れたと言っても、PCゲームという内輪の中の話であって、ファミコン系のRPGとは比較にならないだろうな…(←検索してみたものの、本数に関する詳細なデータは見つからなかった)。当時の家庭用ゲーム事情については全く無知なんだけど、ドラクエもどきのRPGをプレイしたいという事であれば、PCよりも家庭用ゲーム機のほうが、ソフトの種類も豊富じゃなかったのかね? もちろんマシンのスペックではPCが上回っていただろうから、グラフィックがキレイだとか、メッセージに漢字が含まれる等のアドバンテージはあったとしても、その程度の理由では、当時まだまだ高価だったであろうPCを購入する動機としては弱い気がするぞ。

いずれにせよ、88伝説に掲載された紹介文の
>日本ファルコムの、2D RPGへの究極の回答
という表現は、ちょっと大げさ過ぎだろうと。確かに、移動やメッセージ送りの速度、それに経験値を“次のレベルアップまでに必要な量”方式で表示するよう切り替えられるなど、システム回りの細かい部分でプレイヤーに配慮していることは伺えるが、それらに関しても──飽くまで発展途上であって──べつに本作が究極の完成型というわけではあるまい。
たとえば、装備を交換することで生じるステータスの増減を、同一画面上で確認する機能や、呪文の効果について解説してくれるヘルプ機能など、後年の作品に見られる便利な仕様が、本作では実装されていないし。
また自動戦闘モードについても、ステータス異常に関する標的の優先順位などの点で、必ずしも最適な行動を取ってくれるわけじゃ無いので、同格以上の相手との戦いにおいては、やはりマニュアル戦闘を選んだほうが無難。つまり、格下の敵しか出現しないと分かっている地域を(フラグを消化するための“お使い”などの目的で)横断する際、いちいちマニュアル戦闘するのがメンドクセー…というような場合に使うぐらいだな。
まぁAI戦闘については、マヌケっぷりで名高いドラクエIVが本作とほぼ同期であることを考えれば、(PCとファミコンの差を差し引いても)それほど非難されるべきでは無いか。

厄介なのは、クエストが達成されていない地域にある街や村では、ベッドで眠らせてもらえない(=HP、MPを全回復できない)というケースが多い点。おまけにワプ1の呪文(←いわゆるルーラ)は本家と異なり、直前に訪れた街や村に戻ることしかできないため、もしもズタボロ状態でベッドの解放されていない村に入ったりしようものなら、回復することも魔法で脱出することもできずにハマってしまう…という事も起こりうる。
まぁ救いなのは、戦闘では「逃げる」コマンドが100%成功すること…ただし、こちらが逃げるよりも早く、敵に先制攻撃されるリスクまでは回避できない。とはいえ、戦闘が終了する(←逃げた場合も含めて)ごとに、ヒットポイントがゼロになって気絶していたキャラは復活(HP=1)するし、一度に現れる敵の数は最大4体までだから、4人編成である主人公パーティーが全滅することは、なかなか無いけどね。
最悪、全滅しても“戦いの直前に戻る”という選択肢が提示されるし(←この点に関しては、本作が究極の初心者向けであることを否定できない…つーか、これほど親切な仕様は、ゆとり世代の作品においてさえ珍しいのでは?)。

ともあれ逃亡に成功するとフィールド画面に戻って、そこからは一般的なアクティブRPGよろしく追いかけっこになるワケだが、敵を振り切ること自体は容易…しかし、新手の敵が前方に立ちふさがったりして、進退が窮まる恐れはある(←とくに、地形が狭くなっている場所で挟まれてしまうことが多い)。
もともと敵はランダム・エンカウント方式で出現するわけじゃなく、最初から配置されていたものが“見えない”状態で動き回っているのであって、どうしても狭い場所に集結する傾向があるようだ。それが一因なのかも知れないが、やたら連続して遭遇戦を強いられる事があり、これがまた鬱陶しい…いちおう中盤以降は、アイテムを使えば敵が見えるようになるけどさ。
戦闘の多発によるマイナス点として、せっかくメイン(フィールド?)BGMは良い曲なのに、すぐ中断されてしまう事が挙げられる。この点を考慮したのかどうかは不明だけど、たとえばドラクエIIIのフィールドBGMなどは、曲の冒頭部分がいちばん盛り上がる構造だったのに対し、こちらは後半で盛り上がる曲のため、そこに至る前に戦闘が発生してしまい、なかなか後半部分まで聞けない…という残念なことになっているんだよね。

あと、これはソーサリアンなど他の収録作にも当てはまる(←ということは、PCゲーム全般が抱える宿命的な問題ということか?)ことだが、キャラの移動をブロック単位ではなくドット単位にしたことで、見た目の動きは滑らかになった反面、操作に余計なストレスがかかるようになった…具体的に言うと、階段などを利用する際、ピッタリと座標を合わせなければ反応してくれないのである。移動速度を遅く設定すれば、座標は合わせやすくなるものの、通常の移動がノロノロになるし…。
そのくせ街の住人には、しっかりと当たり判定が存在するため、せまい通路や部屋の入り口なんかに立ちふさがって、こちらの通行の邪魔になることも多い…これは初期のドラクエでも同様だったが、やはり不評だったのか、III以降は当たり判定が無くなって、通り抜けられるよう改善されたというのに。
そもそもドラクエザナドゥのようにキャラクター単位で移動する方式なら、こんなみみっちい苦労は必要ないだろうし…まぁこの点に関しては、のちに改良されて“ボタンを押している間だけ加速する”という方式に行き着くわけで、当時は発展途上だったと諦めるべきか。

それからパーティーメンバーの、キャラの立て方が希薄なのも気になった。いきなり白紙状態のキャラを複数投入して話を始めるWizドラクエIIIタイプの作品なら、各キャラに手っ取り早く個性を与える手段として、クラス(職業)という概念が導入されているケースが多い。逆に、あらかじめ特定のキャラクターが設定されているタイプの作品では、その設定に関連するイベントを展開することで、プレイヤーに対してキャラの印象づけを行なうのが常道だろう。
ところが本作では、キャラクターは特定されているにも拘わらず、ほとんどなし崩し的にパーティーに加わるうえ、その設定に関わるようなイベントも──有るには有るのだが──かなり唐突で、ストーリーとしても魅力に欠けるんだよな…この点に関しては、やはり同期のドラクエIVに軍配があがるか?
そして本作の(中途半端に自由な)成長システムが、この問題を助長してしまっているのでは無かろうか? つまり、レベルアップに際して上昇する各パラメータの割合や、習得する呪文を自由に変更できるため、戦士タイプか魔法使いタイプ、また魔法使いの中でも、いわゆるメイジ系(←攻撃系の呪文をメインに習得)かプリースト系(←回復・補助系の呪文をメインに習得)、あるいはそれらの中間・混合型といったように各キャラを特徴づけることも可能になるわけだが、こういうのは一度クリアした後に特殊なメンバー編成で再挑戦するような上級者向けのオプションであって、むしろ初プレイ時には、どのような配分が最適なのか分からず戸惑わせる要因になりかねない。
まぁ実際には、デフォルト設定のまましばらくレベルアップを重ねていくと、次第に各キャラごとに成長の方向性が見えてくるので、何も考えずそれに従っていれば、とくに問題は無いんだけどさ…戦闘そのものの難易度も低いから、少しばかりパーティーバランスが悪くても、力押しで突破できてしまうし(笑)。

ただし、そういったパワープレイの弊害として、せっかく色々と設定されている攻撃および補助系の呪文が、ほとんど活用されずに終わってしまう点がある(苦笑)。せいぜい、やっかいな魔法を用いる一部の敵に対して、サイレス(沈黙の呪文)を使うぐらいで、あとはダメージの蓄積に応じて適当に回復魔法を唱えるだけ…この件についてはスタッフ側も自覚があったのか、なるべく他の魔法を使うよう誘導すべく、回復魔法の消費MPを割高に設定したのではないかと憶測。
にも拘わらず、攻撃や補助系の呪文を使う気になれないのは、まず第一に“会心の一撃”の発生する確率が高いため、ダメージの期待値としては明らかに
通常攻撃>魔法
であること。補助系の呪文にしても、たとえば攻撃力アップの呪文を唱えたところで、実際に増加するダメージは誤差の範囲内にとどまる印象であり、それなら(1回分の行動とMPをムダにするより)自分で普通に攻撃したほうが、やはり期待値は大きいだろうと。
第二の理由は、中盤から入手できるアイテム(←さまざまな魔法の杖や、毒針)を装備することにより、わざわざMPを消耗しなくとも、いくつかの攻撃あるいは補助魔法を使い放題になる点。とくに眠りをもたらす聖なるの杖は強力で、眠ってしまった敵に対しては全ての通常攻撃が“会心の一撃”になるし、一撃で相手を気絶させる銀の杖も確実に決まるので、戦闘がサクサク進むようになる。
そして最後の理由は、攻撃魔法の使い勝手が悪いこと。グループ攻撃呪文が存在しないため、効率性の点で通常攻撃と大差ないのも一因だが、個人的に最も気を削がれたのは、属性面での性質が分かりにくいことである。属性そのものは、炎・冷気・電撃の3つというスタンダードな部類なんだけど、モンスター側の属性設定を推測することが困難なんだよね。
それで何が問題なのかと言うと、本作における属性レジストは、ダメージを減殺もしくは完全無効化するという一般的な方式ではなく、体力回復という形で発動するのだ。ファイヤークリスタルのように、初期値を大きく越えて体力が増大するのでは無い分だけマシではあるが、あちらは少なくとも、属性が見るからにバレバレ(←例:DevdogFlame spellを唱えちゃダメ)なので予測回避することができたのに対し、こっちは兵隊ムカデが炎属性とか意味不明な扱いなので、わざわざリスクを冒して攻撃呪文を使おうとは思えない。

なお本作では、獲得できる経験値&ゴールドを減量するという形で難易度を変更できる設定になっており、いちばん難しいモードでは経験値が4分の1まで絞られる。すなわちレベルアップ(=それに伴う、HPとMPの全回復)するまでに4倍の時間を要するわけで、そうなると上述したような回復魔法オンリーのゴリ押しプレイでは、すぐにMPが枯渇してしまうだろう。状況に応じて攻撃系・補助系など各種魔法を的確に使い分け、なるべくMPの消耗を抑えながら進む戦術が必要となるはずで、それなりにRPGをやりこんでいるプレイヤーならば、そういう楽しみ方をするべきなのかも知れない。
とは言え、ここでネックになるのが、出現する敵グループのバリエーションが乏しいという点。実際に数えたワケじゃないが、恐らく各地域ごとに10パターン未満しか存在しないと思われる…これだけ少ないと、次の目標地点までの進路が確保される頃には、パターンを覚えてしまって「ああ、またこいつらか」という事になってしまうんだよね。
通常モードでさえそんな有り様なんだから、もし仮に高難度モードでプレイしていれば、それこそ何度も何度も同じパターンの敵と繰り返し戦わされて、さぞかしウンザリさせられる羽目になっただろう。つまり、単に成長速度を落とすことで戦闘の回数を増やしても、それは本当の意味での難しさではなく、ただプレイヤーに長時間の単純作業を強いているだけに過ぎない。レベルアップ作業は、RPGの楽しさの根源たる要素のひとつではあるが、あまり厳しいと「作業ゲー」呼ばわりされる口実を与えてしまうことになるわけで。

以上のような理由から、けっきょく難易度はノーマルで、通常攻撃と回復呪文だけを使って進む…という凡庸な形に落ち着くことになったのであった。まぁ終盤に入ると、通常攻撃の全く通用しない敵も登場するので、ようやく攻撃魔法に出番がやって来たし、ラスボスは高い打撃力と防御力を誇るため、こちらも対抗して(攻撃力や防御力を上げる)補助魔法を使わなければならなかったり…と、さまざまな戦術を使い分ける必要が生じてくる。
その意味では、先へ進むほどに難易度が上昇する理想的なゲームバランスと言えなくも無いのだが、そもそも序盤の難易度が低い(=戦術バリエーションが狭い)点と、見た目のドラクエっぽさが相俟って“初心者向け”というイメージを抱かざるを得ず、それが冒頭の「なんで、わざわざPCでドラクエもどきをプレイする必要が? しかも天下のファルコムが作ったとか…」という疑問につながるわけだ。

ストーリーに関しては、「悪い大臣の企みによって国を追われた王子の、流浪・復讐譚」という、陳腐を通り越して物語のアーキタイプとさえ言えるモノになっており、この点も“初心者向け”という印象を与える一助となっている。
そして終盤の展開は「じつは人間こそが悪で、それを粛清する役目を担っていたのがラスボスだった」という、これまたありがちな人類性悪説に基づいた善悪逆転劇…まぁギリギリ80年代の作品だしな(笑)。
「じつは普通のファンタジーのような中世ではなく、高度な文明が崩壊した後の未来でした」という世界設定も、この当時の作品にやたら多かったパターンだよな…と思って調べたら、ドラゴンセイバー('90年)やLUNARシルバースターストーリー('92年)よりは先なのね。この辺りは、どうしても最初に触れた作品の第一印象に引っ張られてしまうだろうから、ノーコメントで(苦笑)。
むしろ個人的に気に入ったのは、そういったベタな本筋とは離れた、おふざけの部分。とくに中盤までの敵役である叛逆大臣、悪を企むアグダムさん(←この名前も大概だよな…)の死に際における展開のお茶目っぷりには、素晴らしいものがある。
ごもっとも(笑)

しかし、いざ戦いが始まると、この狼狽ぶり(苦笑)

そして倒されたアグダムに代わる、新たなボスキャラ登場!
 
…と思いきや、主人公パーティーが駆けつけて来たことで、あっさり逆転
この世界には、アホな悪役しかおらんのかー!?(笑)