日曜日, 10月 24

電撃大王GENESIS 2010 AUTUMN

今日も連休。前の晩はほとんど寝ず、直前に少し仮眠を取っただけの割には疲労感もなく、予定通りD書店で立ち読みすることができた。
昨日アフタヌーンを読んだ時よりは気分が良いはずなのに、面白いと感じられる作品が少なかったということは、気分の問題じゃなく本当につまらなかったんだろうな。相変わらず、季刊なのにページが少なくてエピソードが完結してないとか、休載してる作品が目立つのは不満…まぁ介錯はどうでもいいし、ヒラコーについてはドリフターズに集中してもらいたいので、むしろ休載は有り難かったりする(笑)。

うるわし怪盗アリス(絵:鈴見敦/脚本:田中ロミオ)
新連載その1。目利きの美術鑑定士だった父親が突然その才能を失ったせいで、貧しい暮らしを余儀なくされるようになったヒロイン。じつは優れた美術品には精霊(のようなもの)が宿っており、父の没落は、それが視えなくなったことが原因らしい。それを知ったヒロインは父親の名誉を回復すべく、精霊と協力して真相を探り始めるのだが…みたいな話。
貧しい暮らしのせいかヒロインの素行には問題があり、作画的にもイマイチなので萌え要素には乏しい。ストーリーに関しては、まだ導入部なので評価は保留…しかし季刊誌(しかも新連載)であることを考えれば、最初のエピソードを完結するぐらいまで一挙に掲載すべきだろうに。

デュランダル-不朽の刃-(前嶋重機)
新連載その2。指輪物語やD&Dに染まった直後の設定オタクが描きそうな話だな…やたら詳細に国家間状況を語ったりとか、読んでいて過去の古傷をえぐられるものがあった。
で、平和だった王国に突如として謎の敵が侵攻し、肉親である王の死によって唐突に王位継承者となってしまった主人公という、お約束の展開になるわけだ(笑)。今のところ全くそのテンプレ通りでオリジナル要素は見られないし、作画も緻密でもなければイマドキの絵柄でもないため、続きを読みたいと思わせるだけのパワーはない。

ゴッドシーカー
こちらも“中世ヨーロッパ風ファンタジー世界で、国家間の紛争を描く”という点では↑と共通しているか…現時点では作画、ストーリー、キャラの魅力いずれもこちらのほうが上を行ってるけど。
腹ペコ娘は隠しごとが苦手らしく、父の仇を暗殺すべく潜入してきたことをあっさり話してしまうというアホっぷり。ここの描写はコミカルだが、一方で「他者から奪うのが当たり前」という弱肉強食の世界に生きている草原の民(←モンゴルか)との価値観の隔たりの深さも描かれており、「やや本格寄りのラノベ」ぐらいの位置づけを狙っているのだろうか? 連載のペースを考えれば本格的(つまり大規模)な紛争なんて描き切れるはずは無いし、けっきょく主役クラスの行動に視点を集約せざるを得ないだろうから、これぐらいのバランスでちょうどいいと思うけどね。ヘタに壮大さを煽った挙げ句、ひどい尻切れトンボに終わった失敗例も多いし。

緋色のマリオネッタ
↑の作品では、何だかんだで草原の民の娘とも分かり合える余地が残されていそうなのに対し、こちらのゲスト主人公は異国の戦場で出くわした少女に引き金を引くのをためらった瞬間、撃ち殺されるという悲しい結末を迎える。
死の間際の走馬燈のなかで彼は、おとなしかった少年時代から軍国主義のプロパガンダに染まって兵士となった過程の記憶をさかのぼる中で、軍や国家や時代への責任転嫁の言葉を重ねた末、やがて「ぼくが彼女の父親を殺したのかも知れない」と自らの罪を認め、死んだ祖母と再会し安らぎを得る…と話だけ書くとベタだけど、なにしろ演出の技量が確かなので、きっちり読ませられてしまう。

妄想奇行~アドレッセンス・アバター~
敵対的な生徒会長の圧力による廃部の危機を退けるため、学園祭で成果をあげて見せなければならないとか、そもそも部員が足りてないとか、学園(部活)モノのお約束のオンパレードだな…ついこの前にも、コミック版ハルヒで似たような展開を読んだばかりだぞ(笑)。だからダメと短絡的に決め付けるつもりはない…つーかむしろ、ハズレが多い今号の中では比較的マシな方だったという。

あかとき星レジデンス
天涯孤独だという身の上話を聞いただけで即採用とか、リアルならどう考えても下心ありありだろ(笑)。完璧に地球人に擬態し続け、今もなお愛や感情の何たるかを自覚しないまま、亡くなった妻を想って涙を流す老宇宙人の姿が切ない。今号では数少ない当たり だな。

やさしいセカイのつくりかた
モデルのバイトをしていたことが学校側にバレ、退学処分にされそうになった生徒を弁護する話…って、前回のハズレ話のほうの続きかよ! 弁護の具体的な中身についても、学則の文言の細かい部分についての解釈という屁理屈だけで、意外な盲点を突いた逆転劇!みたいな知的刺激のある内容じゃなかったし、最後は学長の血縁者である先輩教師に頼るという、爽快感のカケラもない幕切れ。
単行本が発売決定したようだが、これでは買えんなぁ…(←つーか今回、発売決定の告知された4本が、揃いも揃って微妙な評価であり、購入に踏み切れないという困った事態に)。

時の消失請負人
今回は2本立て。毎回これだけページ数が充実していれば、単行本の発売が早いのも納得できる…が、購入するか否かは話は別だ。
1本目は過去にさかのぼって、タイムパトロール(笑)の組織像がより詳細に描かれる。女性上司は美人だけど、俺はブリティッシュちゃん一筋ですよ。それはさておき、歴史を歪める行ないを阻止するのが使命とはいえ、些細な改変に対しても厳罰で臨む(←パタリロのタイムパトロールみたいだな)のはどうよ?との疑念が提示され、その理由を確かめるため主人公たちは、組織が厳守する秘密のルートから未知の時空(バビロン)へ飛び込むことに。
で、時系列を現在に戻した2本目で、その結果が語られる…無限の虚空のごときバビロンを永遠にも等しい時間さまよった末、2人に分裂してしまった主人公。一方はタイムパトロールに戻り、もう一方は歴史の秩序を守るという使命の無意味さを悟り、それを破壊する側に転じてしまった。
確かに「不必要なまでに過去に拘ることが、人にさまざまな過ちを犯させてきた」という主張には頷けるものがある…過去の復讐のために生きるよりも、より明るい未来のために努力するほうが幸せになれるだろうし(←少なくとも、俺の人生観としては)。しかし、だからといって問答無用で歴史を荒らし回ることが正当化されるわけでもないし、今のところ敵側の存在理由は“単なる絶対悪”でしかないなぁ…こういう展開は望んでないんだけど…というわけで単行本購入は保留しなければならないか? せっかくブリちゃん可愛いのに(笑)。

スズログ
前回までと打って変わって、舞台は学園へ。学校のPCに侵入し、試験問題を盗み見た者がいると発覚。学校側が装着を義務づけていたはずの行動監視プログラム(←本来ならプライバシー侵害だけど、生徒の義務として認可されているという設定)を無効化していたヒロインと、その親友2人に容疑がかけられる。
疑いを晴らそうとしたヒロインは、親友のひとりが真犯人であると目星をつけ、再犯を試みた際には学園のシステムそっくりのダミーへとアクセスしてしまう罠を仕掛けることで、見事に捕らえることに成功…という話。
ハズレが多かった今号の掲載作品の中では例外的に、なかなか面白い。それにしても、PCが日常的なツールとしてすっかり溶け込んでしまっている現在では、電脳ネタを正面から題材にしたこういう作品はむしろ貴重なのかも。

動研。~菜ノ花高校動画研究部~
遅まきながら初登場の部長は、自分ひとりでアニメを作っていたので、これまで部に顔を出さなかったそうな。部の合同企画として作る作品に、自分の意見を押し通していいものか?と悩む主人公に、「自分より劣る相手と一緒に制作するメリットなんて無いから、ひとりで作ればいい」と過激な提案をする部長。
うーん、やはり集団作業モノでは、この手の問題提起は避けて通れないのだろうか…まぁハックスほどギスギスした展開にならないとは思うけど。けっきょく自分が何をやりたいのか──作りたい作品があるのか、それとも制作そのものを楽しみたいのか──を自らに問いかけ、正しく把握しなければならないんだろうな。

妄想少年観測少女
これがエロマンガで作者(あるいは主人公)が男だったら、違った展開になっていたんだろうけどねぇ…(笑)。「純粋なフェティッシュであってエロじゃありません」と言われても、今更そりゃ無いよと思ってしまうのが悲しき男のサガ…って、そんな認識の差異をドラマチックに描くのがテーマです!とか言うような高尚な作品でも無いだろうし。評価向上の見込みなしと判断して、もう読まなくても良さそうだな。

夢のクロエ
はるか東の国からきた幽霊のおキクさんと知己になり、居候させることに。彼女の着ていた着物を参考に新たな服をデザインして…という話なんだけど、ぶっちゃけ面白くない…これも単行本が発売されるものの、現時点では購入を見送ることになりそうだ。
いきなり登場した女王が何やら目論んでいるようで、次回から新展開の気配。面白くなってくれればいいのだが。

あしたの今日子さん
メインが勇者サイドに移ってから、めっきりつまらなくなったな。今回なんて後半は流し読みしてしまった。一方、ラスト1ページずつしか載ってない魔王&マーリンさんのほうは相変わらず面白い。何故こっちメインでやらないのか?

トカレフの危うい城
安易なエロで釣ろうとしない点だけは評価に値するこの雑誌においては珍しく、かなり踏み込んだ──と言っても直接的な描写は避けて、臭わす程度にとどめているけど──シーンあり。なぜ誰もトカレフに逆らえず、学園から逃げ出せないのか?という謎がどちら向き(←あくまで現実に根ざした心理的な問題なのか、それとも超常的な何らかの力が働いているのか)であるかによって、評価が分かれそうだ。

恋愛魔境ラブコメゾーン(北欧ゆう)
ほかの読み切りは絵のレベルが未熟だったり話がつまらなかった中、今号で唯一の当たり作。やたらラブコメな状況が発生しまくるラブコメゾーンと、それを破壊すべく奮闘する主人公というバカバカしい…というか、誰でも思いつくようなネタなんだけど、逃げずに描き切ったことは評価。くだらないと思いつつも、笑わせた者勝ちである。

闇井さん日常茶飯事!(いせのやじん)
読み切り前後編の前編。やたら振る舞いがスプラッターなメイドさんという、誰でも思いつくようなネタを実際に描いてみた…という点では↑の作品と同じだが、実際に面白いかどうかという部分で明暗が分かれてしまった感じ。こういう目新しさが皆無の作品は勢いで勝負するしかないんだから、もっとバカに徹しないと駄目なんだろう。

スキマノスキマ
相変わらずキャラデザも展開のテンポも性に合わんなぁ…「ネコよけPETボトルは道祖神の一種」という解釈は興味深かったけど。動き回る水のアイデア元は、と学会でネタにされたアレだろうか?

安倍吉俊コラム
前回から引き続き、電子書籍についての話。紙媒体と電子媒体は敵対関係ではなく、“可処分時間”を携帯電話やゲームから奪回するために共闘すべき…という観点は興味深かった。

0 件のコメント: