土曜日, 10月 30

アワーズ12月号

アルカディアを読み終えたところ、アワーズも本棚に戻っていたことを確認したため、こちらを最優先で読破する(←何しろ1冊だけだからな!)。
さみだれ連載終了で読むものが減ったこともあってか、予測よりもアッサリと片付いてしまい──ただし映画レビューを見落としていたことに、いま気づいた(苦笑)──相変わらずハナミズをすすっていたものの体力的にはまだ余裕のある状態だったので、娘TYPEの冒頭部分も消化しておくことにした。

それでも町は廻っている
行きつけのラーメン屋が店じまいしてしまうという、珍しく少し重い話。この手のフィクションは現実世界と異なり、商店街は(基本的に)こういうシビアな話題とは無縁というのが定番のはずなのに…言わんや、この脳天気な作品においてをや。
そして主人公が状況に対して無力というのも(むしろ当然ではあるんだが)つらいものがある。「店を閉めただけで、死んだわけじゃねーよ」というオチは一応の救いなんだろうけど、こういう自営業主って仕事イコール人生みたいな観念の持ち主が多そうだから、心にポッカリ穴が開いて廃人化しないか心配だ。

天にひびき
こちらも同じく老いや病に伴なう、身体能力の減退について考えさせられる重い話。ちょうど昨日と今日で、首藤剛志と野沢那智の訃報が相次いだこともあって、そろそろ俺も他人事じゃないか…なんて思ってしまった。まぁ俺は仕事に思い入れなんて無いし、リタイアした後に時間を潰す手段はあり過ぎて困ってるぐらいだけど、ヘタに身体の自由がきかない状態のまま生き永らえてしまうのは苦痛だろうなぁ…。
本編の重さを和らげるためか、コラムは指揮者にありがちな失敗例を列挙するという軽めの内容。次に何の曲を演奏するのか覚えるヒマもないほど売れっ子の指揮者が、曲を間違えたのに何食わぬ顔でそのまま最後まで指揮し続けたとか、ノリの良さに思わず識者が歌い出してしまい、それが観客にウケたとか、つくづく武勇伝に事欠かない業界だな(笑)。指揮のセンスと歌唱力は全く別の才能なので、“音痴の指揮者”なる種族も普通に存在するそうな。

ナポレオン~獅子の時代~
こっちも本編よりコラムのほうが面白かったな…他の仕事も入ってたせいか、キャラの顔の描き方が雑になってるコマも散見されたし。まぁ叩き出されたジョセフィーヌは、ざまぁとしか言いようがないけど。あと、なんでこの時代のフランスにナニワの商人あきんどがおるねん!?(笑)
コラムはナポレオン帰還の事情に関する補足。なぜシドニー・スミスはナポレオンにフランス本国の事情を伝えたのか。それって単に敵を利するだけの行為じゃねーの?って疑問だったけど、スミスとしては「エジプトでの戦争継続は無意味だ」とナポに悟らせ、自分の手腕で講和をまとめあげて見せたい…という野心があったのね。そこが「フランス憎し」というシンプルな動機で戦っているネルソンとの違いだそうで。
しかしナポ帰還を知った現地兵たちの複雑な(というか矛盾した)心境が、いかにも人間くさくて趣き深い。「この人がいる限り、戦い続けなきゃならん→生きて祖国に帰れそうにない」「でもやっぱり死なないでくれ」ってなぁ…このモヤモヤした心情を放置してしまったから、結局モスクワやワーテルローまで行ってしまったんじゃないかと。 

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