月曜日, 10月 24

#14 Water elemental plane

今の状況を単刀直入に説明すると、“コズミックキューブの制作が中座している一方、Level.11のほうが先に完成してしまったので、制作過程や解き方を忘れないうちに、急いで記述してしまおう”ということである。
とにかくコズミックキューブは容量が大きい上につながりも複雑を極めるため、その制作に際しては無数のメモやら下書きマップを相互に参照しつつ調整を重ねていく…というスタイルにならざるを得ない。これは必然的に、作業を進められる場所が、メモ類やPCのある自室のみに限定されることを意味する。しかもキューブ全体の状況を把握しなければ的確な判断ができない以上、高い集中力と、まとまった作業時間が必要であり、休日ぐらいにしか手をつけられない。
一方でLevel.11は、独立した区画それぞれにおいてパズル的なアイデアを盛り込み、その解き方を(←逆に、予想外で簡単すぎる解き方が無いかどうかのチェックも)考えるだけで済むため、仕事中や通勤電車の中でも進めることが可能であり、気がついた時には、1面分の容量を埋めるのに充分なアイデアが貯まってしまったという…。それどころか、むしろ(またもや)容量が足りなくなってしまい、なんとか容量内に収めるため四苦八苦することになったのだが、まぁそれはいいや。

さて、それでは最初に、このLevel.11(および対となるLevel.8)の設定およびアイデアの発端について。
そもそものアイデアは「一部の面を、エレメンタルプレーンという設定にするのはどうだろう」ぐらいの漠然としたもので、確かVer.Sの制作が終わる直前もしくは終わった直後ぐらいには思いついていたはず…その意味では「Wizクラシック版のスライムって、Mudmanに似てるよね~」と並ぶ、きわめて初期からのアイデアということになるな。
まぁ、あの頃は新たにmapを作るつもりは無かったので、それ以上は突き詰めることなく放置していたのだが、Ver.M/Wが動き出したことで息を吹き返し、「そういえばWizVMight&Magicでは、エレメンタルプレーンが終盤の舞台だっけ」と気づいたことで、正式に採用が決定した。
初期の段階で“mapを上下に2分割し、上側を天国(エアーエレメンタルプレーン)、下側を地獄(ファイヤーエレメンタルプレーン)と見なす…という大ざっぱな構想はしていたが、これは単に(ファンタジーの基礎知識である)4大元素の対立・優劣関係をベースに、いかにもベタな“天国と地獄”のイメージを混合させただけのもの。
その後、“相反するものが、向かい合わせになっている”という状態がVer.M/Wのテーマにも合致することから、残る2つのエレメンタルプレーンもネタにしようと思い立ち、さらにウォーターエレメンタルプレーンを三途の川(あるいはステュクス川)などに結びつけることで、エレメンタルプレーン全体を死後の世界と見なす発想に行き着いた。前作で死んだはずのガルシスの魂を追い求め、死後の世界をあちこち巡るというわけだ。
本来(WizMight&Magic、そしてD&Dにおいても)エレメンタルプレーンは、天国や地獄、それに死後の世界といった概念とは直接関係ないにも拘わらず、本作では敢えて双方を混在させることを試みたわけだが、「なぜ?」と問われれば「やってみたかったから」としか答えようが無い。思いつきで当てはめてみると結構うまくハマったので、そのまま勢いに乗って「こうなったら、全プレーンを対応させよう」という感じだな。

まず最初にコンセプトが固まったのはファイヤーエレメンタルプレーンで、すべての通路を逆さツララおよび1ブロックすべり台で構成するというもの。これはVer.DのLevel.10(レンガ通路)Ver.SのLevel.11(逆さツララ通路)の延長上にあるアイデアだが、いかにも地獄らしい責め苦を与える地形(←針の山や溶岩の流れる川など)のイメージを、ゲーム的に表現するにはピッタリだろう。
当然、この通路内を移動するにはMantle(←ブラックタワーなどで入手)とWinged-boots(←エアーエレメンタルプレーンで入手)が必要。しかも、それらの通路は細かく分断されており、先へ進むには塔内を通り抜けていくしかない。だが塔の部屋は全て壁で囲まれているので、Acid(←ウォーターエレメンタルプレーンで入手)を用いて抜け道を作らなければならないのだ。
つまり(事前にエアーおよびウォーターエレメンタルプレーンを訪れて、それらのアイテムを揃えることなく)いきなりBlack OnyxFire Crystalを使ってファイヤーエレメンタルプレーンに飛び込んでも、手詰まりとなってしまうわけね。
mapを作る側としては、なるべく地形に沿って(つまり、作り手の想定したとおりに)進攻してもらいたいというのが心情であり、それを無視できてしまうワープアイテムの存在は、正直言って疎ましい。ゆえに毎回、その効果を殺ぐための仕掛けを必死になって考えるわけだが、今回はこのように、強引に突入しても身動きが取れないようにすることで、手順を無視した行動は実質的に不可能としたのである。

さて、残るアースエレメンタルプレーンについては、いわゆるロードランナー的な穴掘りパズルにしよう…と、漠然と考えていたのだが、ここで悩みどころなのが各プレーンを巡る順番である。
上述したようなファイヤーエレメンタルプレーンの状況から、エアーおよびウォーターをファイヤーより先に回らなければならないことは確定しているので、全体としては
①(エアー、ウォーター、アース)→ファイヤー
もしくは
②(エアー、ウォーター)→ファイヤー→アース

という順番に回ることになる。
そして素直に考えるなら、②に各エレメンタルの優劣関係をそのまま反映して、
エアー→ウォーター→ファイヤー→アース
とするのが妥当だろう。また“塔の内壁をAcidで溶かして進攻する”という攻略の都合の上からも、ファイヤーエレメンタルプレーン(および、そのペアとなるエアーエレメンタルプレーン)は、Acidが通用しないLevel.11ではなく、Level.8を充てる必要があるため、この点でも
エアー(Level.8)→ウォーター(Level.11)→ファイヤー(Level.8)→アース(Level.11)
という順が望ましい…という結論に落ち着いた。

というわけで今回は、Level.8よりも早く完成してしまったLevel.11のうち、先に訪れることになるウォーターエレメンタルプレーンについて解説することにしよう。
…とはいえ容量の大半が(外世界、塔内のいずれにおいても)アースエレメンタルプレーン側に食われてしまっており、ウォーターエレメンタルプレーン側には僅かなスペースが残されているに過ぎない。まぁそれでも、完全に容量不足で手詰まりになることが危惧されていた初期の頃に較べれば、事前に設定したモンスターおよび必要最低限の情報を提示するメッセージSHOPを設置できただけで、充分に頑張ったと言えよう。
ここに至るまで、最も効率的なスペース配分を求めて何度もデザイン修正を繰り返したわけだが、その試行錯誤そのものが一種の難解で(←しかも本当に“正解”が存在するのかさえ不明という)やり応えのあるパズルであり、「ゲームを作るのは、ゲームを解くのと同じぐらい楽しい」ということを再認識させられた。

それでは実際のプレイの流れに沿って、各区画の具体的な説明に移ろう。まず最初に訪れたプレーンであるエアーエレメンタルプレーンからDragon Caveを抜けると、第1区画に出る。

このようにウォーターエレメンタルプレーンの外世界は、いずれも基本的に幅1ブロックの通路となっている。
通路の背景には、水っぽいイメージを出すためブルーのブロックを使用したが、これはエアーエレメンタルプレーンでも(青空のイメージとして)極めて広く用いたことから、差別化を図るために1ブロック幅の通路(水路)のみの使用にとどめた。この点では、Might&Magicのウォーターエレメンタルプレーンというより、むしろハイドライドの川に近いな。
当初は(まさしくハイドライドの川のごとく)アースエレメンタルプレーンの各区画を分断するように、縦横無尽に水路を巡らせようかとも考えたものの、容量に余裕が無くなったのと、「せっかく苦労して考えたアースエレメンタルプレーンの様子を、実際に訪れる前にネタバレしてしまうのは勿体ない」との判断から、必要最低限の長さに設定した。

水路の途中にあるメッセージSHOPの内容は、以下の通り。
【THE LORD OF HEARTS】 (ハートのロード)
It is WATER
ELEMENTAL PLANE
here. The flow is
a flow of the time,
and nobody can come
back to this side
against the flow
as if nobody could
come back in
the past. The
other side is the
world where there
is not passage
of time, the dead
spend everlasting
time there.
ここはウォーター
エレメンタルプレーンだ。
その流れは時間の流れ
そのものであり、
何者も決して
過去に戻ることが
できないように、
流れに逆らって
反対側に戻る
ことはできない。
流れの向こう側は
時間の流れが
存在しない世界であり、
向こうに渡った
死者たちは、そこで
永遠の時を過ごす。



















スタート地点の付近にメッセージSHOPが設置されており、それぞれのエレメンタルに対応するトランプのロードたちが、そのプレーンの性質について語る…というのが、全てのエレメンタルプレーンに共通する規格である。
ただし、ここで語られるのは基本的に(オレ個人の自己満足的な)背景設定であり、直接ゲームの攻略に役立つ情報ではなく、おもに“各プレーンを死後の世界に準える”というアイデアを補足するのが目的。まぁ敢えて実際のゲームに関わる部分を挙げるとするなら「ここから先は一方通行で、後戻りできませんよ」と警告している事ぐらいか。

次の第2区画には、2つのSHOPが隣接している。

これはメッセージが長すぎて2軒分のスペースを食ってしまったせいであり、実際は1軒のSHOPである。

【* NETI THE GATE KEEPER OF HADES *】
(冥界の番人ネティ)
It is a border
dividing the
territory of the
living and the
dead here, and
someone calls here
Acheron or
The Sanzu River.
Therefore it is the
place for the dead
to cut relation
with the territory
of the living here.
You must THROW OFF
everything you Wear
when you lived.
ここは
生者の世界と
死者の世界を
分かつ境界であり、
アケローン川、
あるいは
三途の川と
呼ぶ者もいる。
それゆえに、ここは
死者が生前の世界との
縁を絶ち切るための
場所でもある。
生前に身に着けて
いたものは全て、
脱ぎ捨てて
行かなければならない。




















ネタのモチーフは日本の脱衣婆と、古代バビロニア神話で最も有名なエピソードの一つである“イシュタル(イシター)の冥界下り”であり、NETIとは、そこに登場する冥界の門番のこと。勘違いしていたのだが、この“NETI”というのは特定の人物名ではなく、“冥界の門番”という役職そのものを指すのだそうな。
ネティ(古代バビロニア神話)にアケローン川(ギリシャ神話)、そして三途の川(日本)と、ずいぶん無節操にさまざまな国や時代の神話・宗教からネタが引用されているのは、単一の宗教や神話の世界観だけでは、全部のプレーンの性質&並びをキレイに説明することができなかったため。やむなく、該当するような要素を持つ宗教・神話のパーツをチャンポンしたような状態になってしまったわけだが、この点については批判されても仕方あるまい。ただし、そもそもRPGというもの自体が、現実世界のあらゆる地域、さまざまな時代から集められたモンスターたちのチャンポンなのだから、これぐらいは大目に見て欲しい気もするな。
なお、ここでは掲載を省略するが、2軒目のSHOPではArmorの一覧表(←Battle Suitsを除く)が表示され、それらを売却することができるようになっている。もちろんシステムの都合上、売却だけに限定するのは無理なので購入も可能ではあるものの、このSHOPを設置した意図に反するので何の意味もない。
その意図とは、次に訪れることになるファイヤーエレメンタルプレーンにおいて、MantleあるいはWinged-bootsの効果が切れた際、逆さツララによるダメージで死んでしまう前に、それらのアイテムを追加使用できるだけの時間的余裕を与えよう…というもの。ダメージの源となる不要なArmor類を、あらかじめ全て売却して身軽になったほうが、よりダメージを低減できるだろうというわけだ。
しかし、もちろん単なる親切だけで設置したイベントというわけではなく、プレイヤーを苦しめる魂胆もしっかりとある。それは、このLevelに登場するモンスター、Cloneとの戦闘による混乱を増幅させようというもの。

さて、本物はどれでしょう?

bmpファイルに手を加えることを解禁した時点で、透明化(=POLTERGEIST)の次ぐらいに誰でも思いつくであろうアイデアのひとつだが、ネックとなるのは、グラフィック処理の問題から装備が固定されてしまうこと。ファイヤークリスタルの“鏡に映った自分”みたいに、その時点の装備からヒットポイントまで完全に丸写しの存在が登場する…というのが理想なんだけど、まぁ仕方ない。
WizCloneの場合、パラメータは丸写し処理されるものの、グラフィックは固定されてしまってるのが難点だな。とくにFIGHTERは(この時点の装備なら、普通はSWORD系だろうに)BERSERKERのグラフィックだからAXE持ちになっているという…まぁ、そもそも女性キャラのつもりでプレイしていた場合はどうなるんだよ!?って話だが(笑)。
で、似たようなことをXANADUで行なうに際し、なるべく装備面でのズレが生じないように…という意図で、事前に上記のSHOPを設けたわけだ。SHOP数の制約もあり武器やShieldまでは対応できなかったが、取りあえずArmorを“Battle-Suitsのみ所有している”という状態に持ち込み、モンスター側のグラフィックもそれに合わせれば、(実際に混乱させるのは難しいとしても)一応こちらの意図はプレイヤーに伝わるのではないかと期待。
【Clone】
ID名前使用する魔法所持アイテム
0Self in Mirror(Death)(Mirror)
1Shape Shifter(なし)(Mirror)
2DOPPELGANGER(なし)(Mirror)
3Clone(Death)(Mirror)









当初の予定では、一部のグループは(“水鏡に映った存在”というイメージから)ウォーターエレメンタルプレーンに登場させるつもりだったのだが、容量の問題から不可能となり、泣く泣く全グループをアースエレメンタルプレーンに移籍することになってしまった。
まぁ“あらゆる物質・生命の根源”というイメージからアースエレメンタル属性だと解釈したり、(Wizでは、4つの属性の領域それぞれに出現することから)無属性であると考えて、たまたまアースエレメンタルプレーンに登場した…と見なすのもアリだろう。
各グループの詳細について述べると、まずDOPPELGANGERWizIII準拠のため魔法は使えず、通常攻撃のみという最弱クラス。その次のSelf in Mirrorファイヤークリスタル準拠なので魔法も使用してくる。3番手のShape Shifterは、ワープ攻撃を行なう(UN=7)が、魔法は使えない。そして最強なのがWizV準拠のCloneで、魔法とワープ攻撃を併用してくる。
所持アイテムがMirrorなのは“鏡に映った自分”のイメージから。

第3区画では、次のファイヤーエレメンタルプレーンに通じるCaveと、以下のメッセージSHOPが設置されている。

これも全てのエレメンタルプレーンに共通する規格であり、元ネタでは敵モンスターとして登場したエレメンタルの王たちは、本作ではメッセンジャーNPCの役割を与えられている。
理由は2つあり、まず単純にメッセンジャーNPCが人手不足であること。もうひとつはコイツらの名前が長すぎて、XANADUにおける名前の長さ制限(=最大14文字まで)に引っかかってしまうため、モンスターとしては使えないことによる。
【THE ROBUNA ICE KING】 (氷の王 ロブナ)
The domain that you
will visit next
is divided
in 9 divisions.

You cannot break
the barrier to
dividing them with
any kind of means
except using power
of WATER ELEMENTAL.
お前が次に
訪れる世界は、
9つの区画に
分断されている。

それらを分かつ障壁は、
ウォーターエレメンタル
力を用いる以外、
いかなる手段を
もってしても
破ることができない。














元ネタでは氷のフェリーの乗船料を踏み倒したセコい奴だが(笑)、本作では気前よくタダで情報をくれる。これはファイヤーエレメンタルプレーンの攻略に関するヒントであり、ここで言及されている“power of WATER ELEMENTAL”とは、このウォーターエレメンタルプレーンで入手できるAcidのこと。

では次に、このウォーターエレメンタルプレーンに登場するモンスターと、それらが配置されている塔内の状況について。
まず大前提として、アースエレメンタルプレーンを“ロードランナー的なパズル”としてデザインする以上、その攻略に番兵(=モンスター)が組み込まれることは最優先事項である。ところが、そのために配置されるモンスターの数が当初の想定を上回り、1面分のmapに設置できる上限を、アース側だけで突破してしまったんだよね。こうなると優先度の低いウォーター側については、モンスターの設置をあきらめるしか無かった…。
というわけで、当初は外世界にも配置される予定だったものの、あっさり削られて塔内オンリーの出番となってしまった、哀れなDragon Turtleから。
【Dragon Turtle】
ID名前使用するブレス(魔法)所持アイテム
0Shell Dragon(なし)(2400Food)
1Dragon Turtle(Deg-Deluge)(2450Gold)
2Giant Tortoise(Deg-Corrosion)(2550Gold)
3DragonTortoise(Deg-Corrosion)(2550Gold)









当初はシンプルに、前半グループは水属性なのでTurtle(水ガメ)、後半グループを地属性のTortoise(陸ガメ)に割り振る予定だった。ところが、アースエレメンタル側で夢幻の心臓II由来のモンスターを登場させる運びとなり、それならば「単発ネタで済ませるのではなく、いっそ“Ver.M/WのMは、夢幻の心臓のM”という汎用性を持たせたほうが面白い」と考え、ウォーター側にも夢幻の心臓II由来のモンスターを配置することになったのである。
斯くして第1グループがShell Dragonに変更されたわけだが、ネットで調べてみると(←XANADUハイドライドIIと異なり、未だに夢幻の心臓IIはプレイする機会に恵まれない)、元ネタのシェルドラゴンはブレスなどの特殊攻撃能力を有しないとの事なので、魔法は使用しない設定とした。ついでに、Goldを所持していない(←ブラックオニキスなどと同じで、倒しても全くGoldが手に入らないモンスターもいるのね)との情報も得られた事から、所持アイテムはFoodに決定。
一方、第2グループ以降のDragon Turtle/Tortoiseについても、Might&Magicベースではブレスを吐かないわけだが、それではShell Dragonとの違いがあまり判然としないし、所持アイテムに関しても使えそうなネタを得られなかった為、ここは“本物のドラゴンと同じ宝のタイプ:Hというゴージャスな設定で、ブレスも吐く”というD&D版を採用し、明確な差別化を図ることにした。

第1区画と第2区画をつなぐ塔内に入ると、まず最初にROPAV DICA(←正確には、その不確定名であるSTRANGE MIST)と遭遇する。
【CorrosiveSlime/ROPAV DICA】
ID名前使用する魔法所持アイテム
0CAVE DWELLER(Corrosion)(Corrosion)
1CorrosiveSlime(Corrosion)(Corrosion)
2STRANGE MIST(Deluge)(Acid)
3ROPAV DICA(Deluge)(Acid)









このうち前半グループが地属性、後半グループが水属性となっている。地属性のCorrosiveSlimeが先なのは、こいつらがアースエレメンタルプレーン側の外世界に配置されている一方、ROPAV DICAは塔内限定で、ウォーターエレメンタルプレーンの外世界には登場しないため。
なお、対立する元素世界に出現したエレメンタルは、迂闊に動き回るのは危険だと考え、じっと動かずに身を潜めようとする。つまり…アースエレメンタルプレーンでCorrosiveSlime(前半グループ)を倒した後はROPAV DICA(後半グループ)が出現するが、こいつらの行動パターンはACT=0に設定されており、全く動けないわけだ。外世界ではアース側にのみ登場するという前提だからこそ、可能な設定である。

さて、ここでスライム系を登場させたのは、上記のメッセージSHOPでTHE ROBUNA ICE KINGが述べた“power of WATER ELEMENTAL”すなわちAcidのホルダーという役回りを負わせるため。
スライム系は全般的に酸を有しているというイメージがあるので、とくに品種にこだわるつもりは無かったのだけれど、その中でROPAV DICAを選んだのは、エレメンタルの概念が強く打ち出されたWizVに登場したから。
ネットで偶然「名前を逆読みするとACID VAPOR(=酸の蒸気)になる」ということを知った時は、ちょっとした衝撃だった。エレメンタルの形態については、火(=プラズマ?)はともかく、それ以外は“地=固体、水=液体、風=気体”というイメージで捉えて差し支えあるまい。だとすれば蒸気(=液体と気体の中間?)は、水属性である可能性が濃厚と考えられる。
そして実際にWizVの地下7階を巡回してチェックしてみたところ、どうやらROPAV DICAが出現するのは水および地属性の領域に限られるらしい。同じくGORGONにも地と水の領域で遭遇したし、別の例ではSUCCUBUSが火および風属性の領域に現れるようなので、水&地、そして風&火が、それぞれワンセットになっているものと推測される(←「要するに、エレメンタルの対立構造をそのまま適用しただけ」と言われればそれまでだが、本作のmap構造に通ずるものがあった事は、ひそかに喜ばしい)。
ともあれ、これら双方の状況証拠を合わせれば、ROPAV DICAは水属性と見なして間違いなかろう。

形態が“蒸気”であるなら、クラシック版のグラフィックがGAS CLOUDと同じ(画像左)であることも納得できる。一方そうなるとPSアレンジ版のグラフィック(画像中央)には違和感が生じるわけで、“ROPAV=蒸気”に気づかず(?)これをチョイスしてしまったPS版スタッフとしては、手痛いミスと言えよう…いや、俺としてもアレンジ版だけを見て、「ROPAV DICAと同じグラフィックだから」という理由でCorrosiveSlimeを充てがってしまった以上、偉そうなことは言えないんだけどさ(苦笑)。

しかしクラシック版に準拠しようとしても、XANADUにはGAS CLOUDに該当するようなグラフィックの持ち主が見当たらない(←非実体タイプのモンスターなら何種類か存在するものの、いずれも擬人化されていて、GAS CLOUDのイメージとは異なる)し、そもそもCorrosiveSlime側と齟齬が生じる(←クラシック版のグラフィックは、MURPHY'S GHOSTと同じなのである)ことから、ここはイメージの統合を優先し、敢えて勘違いに乗っかることにした。「アレンジ版(画像中央)に準拠した」という建て前なら、いかにもスライム系というグラフィックのHood(画像右)を採用することに、異議は無いだろうし。
所持アイテムは、もちろん上記のような経緯からAcidとする。なにしろ名前に刻まれているぐらいだから、当然と言えよう(笑)。ついでにCorrosiveSlimeについても、その名前にちなんでCorrosionを所持させ、さらに使用魔法もCorrosionにした…こいつに関しては特にこだわる必要も無いので、やりたい放題である(笑)。

次の部屋にいるUndineについては複雑な過程があって、その詳細は慎重に記述しなければならない。
まず最初のキッカケとなったのは本家シナリオIに登場したMudmanであり、その一部グループは移動もアニメーションも行わず(←UN=6、ACT=0)、こちらが近づくまでじっと同じグラフィックパターンのまま待機している。で、この設定を流用すれば、ある1種類のモンスターに、静止時のコマともうひとつのコマでそれぞれ全く異なる画像パターンを割り当てることにより、そのモンスターが“変身”したかのように見せることが可能ではないか…というアイデアを閃いた。
そして、このアイデアの対象となったのがMEDUSAだ。髪の毛が蛇の美しい女性…という外観はあまりにも有名だが、D&Dにおいては、
>メデューサは、プライムプレーンとその本来の故郷であるアースエレメンタルプレーンの両方の生まれである。(中略)
アースのプレーン上のメデューサは、長さ10フィートの大量の醜い触手がのたうちながらでこぼこした小さな球体の体に繋がったものである。体からは目の付いた眼突起が数本突き出ており、口には多数の歯がある。

と設定されている(←それにしても、久しぶりに読んだがヒドい訳だ)。
これを引用し、登場時は美しい女性の姿(=NEREIDのグラフィック)で油断させ、近づくと本性(=上記の外観に近いものとして、GRELLのグラフィックを採用した)を現して攻撃してくる…という設定にアレンジした。

名称についても、初期状態にちなんで不確定名(第1グループ)をBEAUTYとする。

さて、この思いつきは見事に当たったものの、問題は残る2グループの扱いである。人間の女性と怪物という2つの形態を有し、できればアースエレメンタルプレーン(あるいは、対立属性であるウォーターエレメンタルプレーン)に棲息するという、そんな都合のいいモンスターが…いた(笑)。
D&Dにおいては
>普通透き通った平凡なヘビのような姿をしている。容易に姿を変える事ができ、物を掴む為に時には多くの触手を持つ姿を用いる。
とされているけれど、一般的には“美しい女性の姿をした水の精”というイメージのUndineである。本来これら双方の設定は別々のもので、MEDUSAのように姿を変えるわけでは無いが、そこは本作オリジナルの設定として両者を融合し、上記のMEDUSAと同じように“攻撃時には本性を現す”という性質を付与することにした。
一般的には(外見のイメージどおり)か弱い女性だし、D&Dにおいても“行動こそカオティックであるが、非常に善良”と設定されていることから、本作もそれに準拠してカルマモンスターに設定。しかも困ったことに、Acidに隣接するように配置されているため、嫌でも接触せざるを得ない。

Acidを手に入れようと近づけば、Undineとしては自衛のために変身して攻撃(←実質の攻撃力はゼロだが)するのが当然であり、それに驚いたプレイヤーは思わず反撃して、カルマを食らう…という想定だ。
逆にMEDUSAについては、(Undineの経験を踏まえて)戦わずに通り抜けようとしたら、いきなり攻撃されてダメージを食らう…という目に遭うことを期待したい(笑)。

【Undine/MEDUSA】
ID名前使用する魔法所持アイテム
0BEAUTY(なし)(Red Potion)
1Undine(なし)(Red Potion)
2BEAUTY(Deg-Corrosion)(Real Poison)
3MEDUSA(Deg-Corrosion)(Real Poison)









UN=6なので、魔法攻撃を行わないUndineを前半グループ側に割り当てる(←どちらも外世界には登場しないので、この点に関しては融通が効くのだ)。
MEDUSADeg-Corrosionは、いわゆる石化攻撃に該当。もともとCorrosionは“腐食”を意味するが、ここではもう少し幅広く“物質的な変化”全般を含めるものと解釈すれば、腐食から石化まで、地属性の特殊攻撃を広い範囲にわたってカバーできるので都合がいい。
所持アイテムについては、Undineは「水属性だからポーション系で」ぐらいの軽い考えで、あまり深い意味は無い。MEDUSAのほうも、map13-565ではギリシャ神話ネタが使われていた(←ペルセウスのメデューサ退治にちなんで、Mirror+6 Large Shieldを所持)が、本作では「Red Potionの反対ということで、毒薬でいいや♪」という安直な発想に基づいて決定。

第2区画と第3区画をつなぐ塔内に出現するモンスターも、最初の塔と大差ない。再登場するROPAV DICAUndineの表記が確定名に変わり、外世界での出番を削られたShell DragonDragon Turtle、それにデカキャラとしてHydraが加わるだけである。
ちなみにデカキャラの上位4種は、それぞれ対応するエレメンタルプレーンに配置することにした。すなわち水=Hydraで地=Boiardo、そしてエアーエレメンタルプレーンには飛行能力のあるGuinが、Wizでもデーモン系モンスターの出現ポイントだったファイヤーエレメンタルプレーンには、魔族のリーダー格であるBuzzatiが、それぞれ立ち塞がっているわけだ。
なお本作では、デカキャラの出現率を必要最低限まで絞り込むことにした。これは雑魚モンスターが全て新規で、種類と強さを推測できないことが“売り”である以上、そこに(たとえ大ざっぱでも)強さの見当がつく既知のモンスターを混ぜたくない…という理由によるもの。まぁこれは別にゲームとして必然性があったわけじゃなく、単に俺の個人的なこだわりだけどね。

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