金曜日, 2月 25

アフタヌーン4月号

日付が改まってしまったが、24日の分。ただでさえ2月は日数が少ないのに、25日にかけて泊まり勤務+残業という巡りの悪さなので、せめて24日のうちにアフタヌーンだけでも片づけてしまうべく、昼休みを利用してD書店へ赴いた。

ミスター・ボージャングル(豊田徹也)
読み切り。子供のころ世話になった隣人(←愛称は“ボーさん”)の消息を追い求めるヒロインが、探偵である主人公に捜索を依頼するものの、調査の結果、すでにボーさんは亡くなっており、しかも最初に彼女の家を訪れたのは泥棒に入るため(ドロボーの“ボー”)だったという、苦い真相が明かされることに。
ヒロインが「昔の思い出を美化していたのではないか」と母親に指摘される一方、ボーさんは彼女との思い出の品を後生大事に持ち続けていた…という2人の対照性を描いた、いかにもアフタヌーンらしい(←褒め言葉に非ず、少なくとも今回の場合は)やや苦い読後感を与える作品。

ああっ女神さまっ
比較的話の分かる相手かと思われたモックル姉が本性を露わにしたことで、一気に窮地へと追い込まれる展開。ダブレット制を盾に取って「部屋から出たら、私が死ぬ」という罠は、唐突すぎて違和感もあるから、ひょっとすると「自分の命を懸けるなんて危なっかしい作戦、ウソに決まってるじゃん♪」というオチの可能性もあるか?
一方、ベルダンディーの法術を封じる装置のエネルギー源にされていることも知らず、ノリノリで暴れ回ってるバカ姉妹(笑)が、事態を察知する/あるいは単に破壊活動を続けるうちに偶然(←こっちの方がありそうだ…笑)、装置を破壊して危機脱出というケースも考えられるな。

げんしけん 二代目
ハト( )斑目( )攻略中…敢えて「どちらが」「どちらを」とは言うまい(笑)。こういう展開になると、このシリーズは結局「斑目アフター」なのかと勘ぐってしまうな。
キャラの相関関係を見ても、ハトちん(←性別に揺らぎのあるキャラに対しては、こういう愛称が有効じゃないかと)が優遇されているのは明らかだし、要するに群像劇スタイルではなく、明確な主役(ヒロイン?)が存在すると。
「第1シリーズは、荻上が登場してから作品のカラーが変わった」という意見について、当時あまりピンと来なかったんだけど、今になって何となく理解できるようになった気がする…群像劇だと思っていたのに、特定のキャラを中心に据えた作りだと分かって、素直に受け入れられない心境なんだな。
つまり斑目が(以前に指摘されたように)「きちんとフラれてない」という問題をクリアするためのキッカケとして、ハトちんという新キャラが配されたのであり、それがちょっと作為的すぎるように感じられたわけだ…でもまぁ話自体は、今のところ可もなく不可もないというレベルをキープしてるので、もうしばらく様子見を続けるんだけどね。

じゃりテン(赤井吟行)
新連載。アフタヌーン系よりも萌え系に近いキャラデザだが、中身はどちらとも近くない、ただ単に下品でセンスのないギャグ(とさえ言えない)をたれ流すだけの駄作。もちろん即切り。

いもうとデイズ
最終回。こうなったら駆け落ちしようと言うディアナだったが、お兄さんが現実を受け入れる道を選択したことで、けっきょく母と共にフィリピンへ帰国。
そして月日は流れ、成長したディアナは試験に合格。留学生として再び日本へ…という予想通りの結末を迎えた。先の読めるようなイベントを淡々と消化するだけの話が盛り上がるはずもなく、これでは単行本を買うのは無理という結論に。

友達100人できるかな
こちらも最終回。友達100人成立まで、あと1人というところまで漕ぎ着けたものの、時間切れは直前に迫っていた。この状況で友達となり得るただ1人の候補は、宇宙人の干渉によって世界から隔絶されていた“本来のナオユキ”のみ。
道明寺さんの案内で“子供のころの自分”と出会ったナオユキが、友人たちとの絆を振り返りつつ、どのように彼らと接すればいいかアドバイスするシーンは落涙必至…これまで積み上げてきたストーリーが、感動のトリガーとしての効果を遺憾なく発揮する、卑怯なまでの泣かせ技だな。一時期は失速していた感があったけど、さすがにクライマックスは盛り上がったわけで、これなら迷うことなく単行本最終巻が買える。そして作者の次回作にも期待。

ぼくらのよあけ
状況の進行(=宇宙船の復活)を描くだけで丸1話を使ってしまったため、とくに面白い要素が無かった(←敢えて挙げるなら、異星文明は水を普遍的なツールとして使用しているらしいというSFアイデアぐらい)のはやむを得ないところか。

臨死!! 江古田ちゃん
モブを除いてサブキャラ連中の出番は少なく、大半が「あるある」系のネタで占められた、江古田ちゃんのワンマンショー状態。
“ビジュアル化された他人のコンプレックス”が苦手で、しょっちゅう口臭予防スプレーを吹きつけたり、筋トレに励んでいる光景を見るとやるせなくなる…など、及第点レベルのネタが多く、なかなかの高評価。しかし「前髪しかない」と言われる幸運の女神をビジュアル化するのは、キモいのでやめてくれ(笑)。

ライカライカ -LIKE A LAIKA-(山崎 廉)
読み切り。四季賞を受賞した作品の新エピソード…という珍しいパターンだが、そもそも受賞作の時点で「とくに惹かれるアイデアも無い、雰囲気だけの作品」としか言いようの無かった代物。しかも新たに何かを付け加えられたワケでもないんだから、面白くなるはずが無い…こんなのを掲載しなくちゃならないとは、かなりヤバい状況なのでは?と勘ぐってしまうぞ。
確かに“退屈な”は“つまらない”と言い換えられるにしても、登場人物が“退屈している様子”を描いた話が、必ずしも“つまらない話”になってしまうわけではあるまい…それは純粋に、作者に“面白い話”を描く才能が欠落しているだけだ。

二人の記録(みやあやた)
四季大賞。執筆時期から考えて単なる偶然なのだろうけど、「鬱系魔法少女というジャンルが希求される何かが、今の時代にあるのだろうか?」と、一瞬考え込んでしまったのは事実。
ホロコーストと魔法少女(←正確には“魔女っ子”に分類すべきか)という組み合わせを閃いたことに、まず脱帽だわ。しかも単なる思いつきで終わるのではなく、しっかりと描き切ってるし。
主人公の動機が紛れもなく“正義”である以上、その行動は(少なくともフィクションの世界では)報われて然るべきと思ってしまうところだが、安易にそのように描かないあたりも、イマドキの作品として妥当なバランス感覚だな。

異国息子(星すばる)
四季賞。かつて殺人アンドロイド(?)を設計した博士が、戦争から逃れて辺境の島で暮らし始め、日常生活のサポート目的として新たにアンドロイドを開発。
彼は博士の孫娘の世話をしつつ平和に暮らしていたが、博士は敵国の人間たちにより殺害されてしまい…という典型的な“人ならざるものに、人の心が宿る”系の話だな。いかにもベタだけど、こういう堅実な方向性で攻めるのも、賞を狙うのには正しい姿勢なのかも。

オアシス論/日陰の氷(山下竜一)
かわぐちかいじ特別賞。互いの境遇を知って、少しだけ親しく/優しくなる2人…という図式の短編2作セット。
1本目は、クラスメートと疎遠になって保健室に逃避しがちな弁当男子と、たまたまケガして保健室を訪れた不良少年の2人が主人公。不良少年がグレた原因は家庭の事情だとか、弁当男子が街でカツアゲされているところに不良少年が通りがかって助ける展開とか、これまたベタな(以下略)。
しかし、どちらかといえば2本目──人嫌いであるが故に、生きた患者よりも死体と関わる仕事を選んだ検死医と、中絶手術の費用を稼ぐために、彼のもとでアルバイトをすることになったヒロインの心の交流を描いた話──のほうが選考者の受けは良かったようだし、俺としても評価は上だな。

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