木曜日, 9月 24

地球全体を幸福にする経済学

幸い…と言うべきか、ここ最近はタイトな勤務シフトが続いており、予備待機のような楽な仕事はほとんど回ってこない。おかげで暇を持て余すことは少ないものの、通勤時間だけはどうしようもないし、今月は購入する書籍が少ないこともあって、図書館に援軍を求めることにした。それがコレ



発端は、同じく図書館から借りていたSFマガジン。その中の広告ページで存在を知り、エコロジストを気取る俺のために書かれたようなタイトルに惹かれて、直ちに図書館に予約を申請…だがあいにく貸し出し中であり、ようやく返却されて俺のところへ回ってきた頃には月末進行が間近に迫っており、しかも次の予約が入っているので貸し出し期間(2週間)以内に必ず返却するよう釘を刺される。
月末進行をこなしつつ、400ページ超の本を2週間で読破せよとは無理難題をおっしゃる…と思ったのだが、いざ読み始めてみると、既知の事実や重複する内容、具体的な数字の列挙など流し読みできる部分も多く、かなりハイペースで読み進めていく事ができた。

知らなかった情報のうち興味深いものを羅列してみると
・化石燃料の総埋蔵量には多少の余裕があり、今のペースで消費し続けても今世紀末までに尽きる心配はない。
・アメリカへの入植初期に大型動物を狩りつくしてしまい、これらを家畜として利用できなかったことで、この地域の文明の発展が阻害された。
タンパク質の生成には窒素化合物が必要であり、これを大気中の窒素から大量に得るハーバー・ボッシュ法の発明が、近代における人口爆発を支えた。ただしこれは化石燃料を利用するため、エネルギー問題の一因となっている。
・パレスチナ問題には、水をめぐる争いという要素もある。ヨルダン川の水の多くがイスラエル側で利用されてしまい、パレスチナ側には十分な量が供給されていない。
・海水の淡水化技術は蒸留法から逆浸透膜法に進歩したが、エネルギー効率の点から低コスト化は望み薄。
・肉牛を育てるには肉1キロあたり飼料8キロを与える必要がある(←これは知ってた)が、可食部だけで計算すると13キロが必要(←これは知らなかった)。
・人口の急増は、やがて職に就けない若年層を大量に生み出す結果となる。過激で扇動されやすい若年層が、失業と貧困の不満を爆発させることは、その国及び近隣諸国にとって大きな不安定要因となる(これが、人口抑制が必要とされる理由の一つ)。

興味深い話も多々あったが、残念なのは(翻訳というタイムラグもあって致し方ないとはいえ)書かれてから時間が経ち過ぎて、「古く」なってしまった部分があるという点。特に筆者が力を入れて(ほとんど感情的と言われそうなギリギリのレベル)批判しているアメリカの経済や外交政策については、オバマ政権誕生とリーマンショックによって完全に過去のものとなってしまったし。

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