日曜日, 8月 1

ぱふ9月号

巻頭特集は最終回を迎えたハガレン。さすがにアニメ雑誌とは力の入れようが違っていて、ページも多く内容も充実している。
作者インタビューによると、ホムンクルスの死ぬ順番や死に方については、事前に決めていなかったとのこと。またマスタングに感情移入しすぎて、危うくエンヴィーをあのまま焼き殺させてしまうところだったとか…気持ちは痛いほど分かるが、さすがにそりゃダメだろ(笑)。
作者自身のエピソードとしては、稼ぎに比して支出が少なすぎたせいで、税務署から裏帳簿の存在を疑われたそうな…大金を使って豪遊するような行為には不慣れだろうから、やはり手堅く家を建てるのが正解だろうね。

その次は、宇宙モノホラー漫画の特集。後者は夏の定番ということなのだろうけど、興味ないので軽く読み流し。問題は前者で、クローズアップ(←作者インタビュー含む)されている2作品は、お互い正反対に近い方向性を持つものの、俺が“宇宙モノ”に抱く期待に反しているという点では共通している。
まず宇宙兄弟は、実際の宇宙開発の状況を踏まえて描かれており、良く言えばリアルだけど、悪く言えば地味なんだよな。
莫大な予算や、僅かなミスも許されない緻密な整備点検を積み重ねて、それでも選ばれた一握りのライトスタッフしか宇宙に行けないという厳しい現実を突きつけられ、宇宙開発がこの程度の進捗状況で停滞しているなら、とてもじゃないが本格的な宇宙進出なんて近い将来──少なくとも、俺が生きている間──には実現しそうにない…と、絶望的な気持ちにさせられる。
この現状を打ち破る革命的な(それでいて実現可能性のある)技術の発見と、それによって飛躍的な進歩を遂げた宇宙開発の状況を描く…というのが、俺がこのジャンルの作品に望む内容なんだがなぁ。
「じゃあプラネテスはどうだったんだ?」と言われれば、あれもドラマとしては悪くは無かったんだけど、宇宙モノとしてはやはり同様の物足りなさを感じていたわけで。

もうひとつの土星マンションは、地球を取り巻く軌道リングという魅力的な舞台を題材にしておきながら、サブジャンル的な土台はあくまでファンタジー寄りであり、SF考証を最初から放棄しているという困った作品。
作者いわく「細かい考証で、がんじがらめになるのを嫌った」との事。中国のSF小説業界ほどではないにせよ、同じような無言の圧力が存在していて、クリエイターに窮屈な思いをさせているのだとすれば、日本のSF業界も反省しなきゃならんかな。とは言うものの、やはりここは逃げないで、きっちり考証を突き詰めて描いて欲しかった。
まぁ、あさりよしとお作品で紹介されているのがアステロイド・マイナーズじゃなく宇宙家族カールビンソンという時点で、本格SFの枠組みにとどまらず、もっと幅広い意味での“宇宙モノ”を取り上げる方針なのは明らかだったんだけどさ。

同人誌における人気ジャンルについては、男性向きは東方が圧倒的で、他は小粒ばかりだそうな。うーん、アニメDVDの売り上げランキングだけ見ていても、全く把握できない世界なのだなぁ…と、改めて思い知らされる。
まぁ仮に東方がアニメ化されたとしたら(ネギまのような失敗をやらかさない限りは)大ヒット間違いないだろうけど。これだけの大勢力に成長して、またコミケで問題にならなきゃいいが…つーか、大きなトラブルが発生する前に、そろそろ切り離すとか対策を考えた方がいいんじゃないのかね?
女性向けの人気タイトルはデュラララ薄桜鬼と、こちらは比較的DVDランキングに近い顔ぶれ。
忍たま乱太郎REBORNイナズマイレブンと、頭身低めでソフトタッチの作品に人気が続いた反動で、頭身が高くシャープなキャラデザのデュラララがヒットしたのではないか…との分析。

今月号で最も興味深く読んだのは、“内語”をキーワードにしたNARUTOの解説。正義の主人公と巨大な悪とが戦うシンプルな二元論の構造ではなく、善でも悪でもない小集団同士が生き残りをかけた戦いを行なっているというのはゼロ年代的な状況であり、その中で、信用できるか分からない相手と対峙した時の心情を描写するのに“内語”の技法が多用されている。そしてこのような要素を描くには、忍者モノというジャンルは非常に適している…という分析。
そもそも連載を読んでいない身なので、この作品がいわゆる“ゼロ年代”に属していたということ(←連載開始は'99年)が、まず意外だった。てっきり、もっと早くから連載されていたものと思い込んでいたけど、ONE PIECEでも'97年開始、BLEACHに至っては'01年開始と、完全にゼロ年代の作品なのね。

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