火曜日, 3月 5

ガンダムUC episode 6 鑑賞

今日は休日。明日と明後日は有休で、実質的に4連休だから焦る必要は全く無かったんだけど、昨日は珍しいことに夜ぐっすりと眠ってしまい、コンディションが極めて快調──夜食にホットケーキを食わなかったので、腹痛の心配をしなくて済むというメリットもある──だったことから、今日のうちに鑑賞してしまおうと判断。

episode 5で少しケチが付いたのと、ニュータイプの記事を読んで事前にハードルが下がっていたこともあって、落胆するほどでは無かったものの、やはりBD購入レベルには及ばず、1200円を払って劇場で1回だけ見れば充分…という感じ。
原作ネタの取捨選択に関しては、ジオン共和国軍に関連する部分は全面的にカット──余計なキャラを増やしたくないとか尺の問題という現実的な理由のほかに、思想的にアレだというのも理由だろうな(笑)──する一方で、サイド共栄圏構想は残すなど、まぁ妥当といったところ。
けれども、L1ジャンクションにおけるラプラス・プログラムの開放イベント(←過去と現在を踏まえて、未来に想いを馳せるというバナージの内面描写)が無くなったせいで、サブタイトルの“宇宙と惑星と”が意味不明になってしまったり(笑)、最初からフロンタルとアンジェロも乗り込んできたせいで、ネェル・アーガマの乗員とガランシェール組との間の、危うい信頼関係に基づいたエピソード(←コンロイがバナージに、いざという時はミネバを人質に取るよう指示するシーンとか、ミヒロが「信じてくれたのにバナージを裏切った」と、ジンネマンを非難するシーンとかね)が省かれたり…と、やむを得なかったと分かってはいるものの、魅力的なエピソードや描写が泣く泣くカットされたのも事実。

とはいえ、たとえばフロンタルがサイド共栄圏構想を語るシーンなんかは、かなり原作から忠実に引用されていたようだけど、それほど説明くさかったり冗長だとも思えなかったので、そこはやはり(尺さえ充分なら)脚本と演出の力で何とかなるのでは…という気がしないでもない。
もっとも、件のシーンは別の意味でハラハラさせられた(苦笑)…ああいった非常に長いセリフを語るのは、ベストコンディションの時であっても大変だろうに、ましてや今の池田秀一に逆シャア当時の演説と同じクオリティを望むのは厳しいものがあるからなぁ。せめて冒頭ダイジェストのナレーションだけでも他の誰かに代わってもらって、多少なりと負担を軽減すべきじゃないかと思うんだが、当人としては今後、オリジンでも引き続きシャアの役を演じたいのであれば「ここで弱みを見せられない」という意地もあるのかもね。

それにしても、ジオン共和国軍の存在をカットしたということは、その背後にいたモナハン・バハロについて言及する機会が無かったことも意味するワケで、そうなると当然、「じゃあフロンタルを生み出して、サイド共栄圏構想を実現しようと目論んでいるのは誰よ?」という疑問が生じる。ラストで唐突に、黒幕である新キャラが登場して「じつは…」とか語り出すなんて展開は下の下だし、本作のスタッフならば当然その程度のことは理解しているだろうから、あと考えられるのは、フロンタル自身が構想を練ったということぐらいか?
その場合でも「そもそもフロンタルとは何者か?」という問題は残るし、この点に関しても、あまり突拍子もない真相を設定することはできない(←原作では、死者たちの想念がサイコフレームに定着して、物理的な力を伴い奇跡を起こした…なんてオカルト解釈も提示されていたけど、やはり富野自身の作品以外では、そういうのは遠慮して欲しいところ)だろうけど、果たして、どのように着地させるつもりなんだろう?

原作をカットされたことによる最大の被害者は、やはりアルベルトとトライスターあたりか。周辺の状況が原作と変わってしまったから仕方ないとはいえ、リディを交えたゼネラル・レビルでの一連のシーンは、アルベルトとナイジェルの好感度がアップする見せ場だったのに…。
アルベルトは、ここで過程を見せておかないと、このまま行けば単なる“イヤな脇役”で終わる可能性が高いし、かと言って逆に、最終巻だけ原作通りの振る舞いを描かれると、いきなり改心したような印象を与えてしまいそうだ。
そしてトライスターは、勢いよくガランシェールに仕掛けたもののブービートラップでした…というのが、今回で唯一の活躍だったという(苦笑)。こんなんじゃ、MGジェスタの売れ行きに響かないか心配…担当者なら、アニメスタッフに文句のひとつでも言いたくなるような扱いだぞ(笑)。原作では、圧倒されながらも何とかシナンジュと戦って見せたのに…。

あと、これは単なる偶然だが…“乗員の一部が武装蜂起して、主人公たちの乗った艦を占拠しようとする”というシチュエーションが、上映前に流れたヤマト2199の予告編の内容と似ていたので、ちょっと笑ってしまった。それにしてもヤマトって、いつの間にか旧シリーズの脚本から盛大に逸脱しているような…フラーケンや白色彗星帝国の艦が登場した時も驚いたけど、デスラー総統暗殺(?)とか、完全に別物になってるじゃん。うーむ、ユニコーンの場合、原作と違う展開になっても、けっこう楽しんでいるんだが、ヤマトについては…少なくとも“旧作ベースのリメイク”というスタンスに共感して、今まで支持してきたオールドファンにとっては「なにか違う」って気分なのかね?

演出も、おおむね悪くは無かったが、ただひとつ──これは技術的な面というより、尺の関係という気がするけど──マリーダとジンネマンの「我儘を許してくれますか…?」「…許す」のやり取りだけは少しテンポが早すぎで、せっかくの感動が半減してしまったように思える。もうほんのちょっとだけでも、回想カットなりセリフなりで間を稼ぐべきだったのではないかと。
それから後半の、艦内から袖付きを掃討しようとするシーンで、直前までレウルーラにいたように描かれていたフロンタルが、いきなりネェル・アーガマに現れてバナージを組み伏せたように見えたのも、変だったような…。ところで、その際にレウルーラのMSデッキにあった新型MS(?)って何なんだろう…「脚が付いていない」というセリフからして、フロンタルが搭乗するのかね? まだシナンジュも健在のようだけど、同じくローゼン・ズールも片腕を失っただけだから、乗り換える動機としては弱いよなぁ。

そして問題は作画。1年のスパンを空け、またMSの戦闘シーンも少なめ(←期待したFAユニコーンなんて、今回は出撃シーンだけで終わっちゃったし…苦笑)であった割には、超絶ハイレベルというわけに行かなかったようで、一部のシーンでバナージの顔が──序盤の頃ならともかく、それなりの修羅場を経験した後としては──幼すぎたり、バナージの部屋で語るマリーダの顔が──下から煽るようなアングルで、描くのが難しいというのは分かるけど──別人のようにゴツかったりと、キャラの顔アップ作画に若干の乱れが見られたのは残念。
逆にリディは別人のような顔つきになっていたが、これは精神面の変化が表情に出ているわけで、演出意図としては正しいな…カットごとに大きくブレるようなことも無かったし。
演出にせよ作画にせよ、時間さえあれば修正・追加カットを加えることで容易にクオリティアップを図れそうなものだけど、ここで“上映と同時にBD販売”という方式が仇になった感じ…せいぜい打てる手といえば、後年に総集編を公開したりBD-BOXとして再リリースする際に、一部作画をリテイクするぐらいか?(←そして、最初に買ったファンが憤慨するという、いつもの流れ…苦笑)

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