風ザナはI(全12章)からII(全6章)にかけて文字通り半減したのに対し、この英雄伝説シリーズは1(全6章)から2(全5章)なので、それほどボリュームがダウンしたという印象は受けないな…前作の地上世界をそのまま引き継いだうえに地下世界も加わったことで、むしろ空間的には増大しているとも言えるし。
改めて本作を振り返ってみると、ダンジョンがブロック単位に区切られていなかったり、異様に長い一本道や似たような構造の分岐を繰り返し登場したりと、正確なマップの作成を困難にさせようという意図が見受けられる。その影響もあって地下世界が広大に感じられ、また実際に踏破するのに相当の時間と労力を要したことから、少なくともボリューム面では満足すべき内容と言えるだろう。
ただし、そういった評価をもたらした地下通路も、この終章においては出番なし。また新たな街や住人も登場せず、ひたすら最終決戦の舞台となるグロストス城を攻略していくことになる。
城の内部は、部屋と通路を組み合わせたスタンダードなダンジョンや、それを見下ろす上層のキャットウォーク、城壁の上や中庭などバリエーション豊か。中には、イースのサルモン神殿を彷彿とさせる造りも見受けられたが、次々と発生するサブクエストに翻弄されて各所を走り回らされた向こうに較べると、本作はシンプルな展開を見せる。
いちおうレジスタンスの侵攻(←陽動を含む)という背景に沿った形で進んで行くワケだが、何度も行ったり来たりする必要はあまり無いし、マッピングしなくても多少の試行錯誤を繰り返せば確実に先へと進める程度の複雑さ(←これはサルモン神殿や、その前のダームの塔以来の、ファルコムの良き伝統だな)なので、大して手こずったという印象は無い。
モンスターに関しては“普通に強い”と言ったところか。どちらかと言えば呪文を使ってくる奴が多いため、どんな特殊能力を持っているのかという点を期待していた身としては、あまり楽しめなかった(苦笑)。
しかも、ほんとに終章かよ?と疑いたくなるほど、出てきた連中は次から次へと眠りに落ちて行くし…中ボス(←出現位置固定、BGMもボス戦用)と思しきブラックナイトですら例外ではなく、ほとんど「もう聖なる杖だけでいいんじゃないかな」状態だったワケで、やはりこれはゲームバランス的に違和感ありと言わざるを得ない。
終始こんな感じだったならともかく、第3章が難易度的にピークだったというのは、どう見ても歪だろう。ここは“英雄伝説=ドラクエもどき”という原点に立ち帰って(笑)、ならば英雄伝説IIはドラクエ2に該当するから、そのラストはロンダルキア並みに過酷な戦いを強いられるようにすべきだったのでは?
特殊能力で面白かったのは、せいぜいバイオレッドの眠り無効化ぐらいかね…で、上述したように聖なる杖があまりにも有効だったものだから、パーティ内で最も強さが低くすばやさの高い(←レベルアップ時におけるパラメータ配分は、デフォルトのまま弄らず)フローラに常備させるような流れになったのは、ある意味で必然だった。その結果、フローラが聖なる杖を使って、バイオレッドを眠らせる→すぐにバイオレッドが起きる→またフローラが眠らせる→またまたバイオレッド起きる…という、激しくもバカバカしい応酬が展開されたのだった(笑)。
マップ、モンスターともに、さほど手ごたえを感じられないまま進んでいくと、いつの間にやらラスボスの待ち受ける最深部までたどり着いてしまった…と、ここで中ボス戦をはさんだ後、アトラスが唐突に「ここから先は一人で行く」とか、ちょっと前に聞いた覚えのあるセリフを言い出したもので、思わず笑ってしまう…いや、本来こっちの方が先に制作されたことは分かっているけどさ(笑)。
しかし、アクション方式のイースや風ザナならばともかく、本作のようなターン制コマンド方式では、ラスボスとタイマン勝負しても盛り上がらんだろ(笑)…ドラクエ1のVS竜王戦ぐらいが精一杯ではないかと。
…で、仲間たちの暖かい説得(笑)をあっさり受け入れて、やっぱり全員で攻め込むことにしたものの、これまでと違って、なぜかパーティーメンバー全員がゾロゾロと金魚のフン(←要するにドラクエ、もしくはグラディウスのオプション)状態で連れ立って歩くようになって「何じゃこりゃ?」と思ったら、渡っている途中に橋が崩れて、最後尾のシンディが谷底に転落するというイベントのための演出でした。
むぅ、これは落下した衝撃でシンディの仮面が割れる&記憶を取り戻す展開だな、きっと。ラスボス戦でパーティーが窮地に陥ったところに、絶妙のタイミングで駆けつけてくれるに違いない! …と思いきや、戦いが始まる前に早々と戻ってきちゃったよ(笑)。
つーか、シンディの正体って、あの白竜だったのか…確かに辻褄は合うな。クリアした後に改めて、直前のセーブポイントからやり直し、シンディの転落後に関係者への聞き込みを行なって、納得。とはいえ、じゃあ(シンディ=ローという俺の説は、半ば冗談だったにせよ)途中でフェードアウトしたローは、結局どこへ消えたんだ? エンディングにも見当たらなかったし…俺が気づかなかっただけ?
さて…いよいよラスボス戦だが、さすがに初戦は第2形態の連続攻撃の前に、為す術もなく敗北。けれども、確かに圧倒的な強さではあったものの、どちらかと言うとラスボス戦用に貯め込んでいたビスナの実(←全員のMPを完全回復する効果)が、じつは戦闘中には使用不可だった…というマヌケな計算違いのほうが、苦戦の原因だったような気がするぞ(苦笑)。
ともあれ今のままで勝つのは難しいだろうし、もうちょっとレベルアップしてから再挑戦しようと考え、とりあえず城の最深部に近い場所を往来して、ザコモンスター相手に経験値を稼ぐことに。
そこで偶然、エリクサーがあった部屋に再び迷い込んだところ──普通なら一度開いた宝箱は空っぽになるはずなのに、この宝箱だけは特殊な仕様らしく──元どおりになっていて、もう一度エリクサーをゲットすることができた。
ひょっとして、こうして何度でも復活するのなら、持てる上限いっぱいまでエリクサーを回収し、それを利用してゴリ押しでラスボスを倒す…というのがデザイナーの意図なんだろうか?とも思ったが、あいにく仏の顔も三度までらしく、4度目に部屋を訪れた時には、件の宝箱は空のままになっていた。
仕方なく、エリクサーを3個だけ携えてラスボスに挑み、またもや全滅。しかし、その際たまたま苦しまぎれで使用したレストナキノコ(←全員のヒットポイントを500ずつ回復する効果)が、けっこう有効なのではないか?と思いついたことから、これを買えるだけ買い込んだうえで三度目のチャレンジ。
ラスボスが第2形態になった後は、オビスで即死させられてしまうリスクを回避するため、インパスやダナムといった補助呪文を唱える手間も惜しんで、いきなりサイレスを使って互いの詠唱を無効果。
そのせいで与えられるダメージが少なくなり、ますます戦いが長引いてしまったものの、アトラスとシンディの2人による攻撃力の総計は敵の回復力を上回り、確実にダメージを累積させてゆく。そして攻撃手段を持たないランドーとフローラの両名が、キノコを用いた回復役に徹することで敵の猛攻を耐え切り、ようやく勝利することができた。
ストーリーを適当に聞き流してきたせいか、エンディングを見ても今ひとつピンと来ないというか、そもそも「ところで、こいつ誰だっけ?」みたいなキャラが多くて困る(苦笑)。(人間体としての)シンディが欠けた分の賑やかし役というわけか、いつの間にやらレジスタンスの娘──名前忘れた(笑)──が、ヒロイン2号みたいな位置づけに収まってるし。
ところで、アトラス“皇太子”ということは、あの後継者がいなかった王国は結局、アトラスの王国と合併して、帝国になったって事かね? 本編内でも──俺が覚えているぐらいに(笑)──しつこく言及して伏線が張られていたから、べつに唐突というワケでも無いんだけど、一般的には“王国が主人公サイドで、帝国は悪役サイド”というイメージが強いので、ちょっと違和感はあるな。
プレイを終えての総合的な評価としては、前作と同じく“凡作どまり”といったところか…まぁシステム面に関しては、RPG黎明期の作品と比較するのは酷だと思うものの、やはり先行作品との類似性が強いという印象は拭えない。ストーリーも凡庸だし(←この点については、もちろん時代性を考慮しなければならないけど)、風ザナやソーサリアンのように──いささかゲームの本分からは逸脱するが──BGMの質と量が圧倒的であるというような、独自の強みを有するわけでも無い。
敢えて良かった点を挙げるとすれば…地下世界のマップが、それなりに手応えがあった事ぐらいかね。ワープや隠しドアといった搦め手に頼ることなく、普通の通路の分岐だけで、あれだけ眩惑させられたのだから大したものだ…この点では、ストーリーやBGMのような副次的な要素に依存せず、純粋に難しさを売りにしていた時代のRPGに近い位置づけの作品と言えるのかも?
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